昨日、今日と、日経新聞で、標題に挙げた法改正がらみの厚労省労働政策審議会の検討内容が報道されていました。
パワハラについては、先月触れた通り、来春の法施行に向けて厚労省の審議会で指針・ガイドラインの策定が進められており、その行方を注視していますが、今回の報道では、厚労省が出した素案に対し、審議会の委員からの指摘や日本労働弁護団から声明が出されるなど、当初から言われている通り、議論は簡単にまとまらない雰囲気のようです。パワハラは業務上必要な命令・指導・人事権の行使との線引きが難しい面があるところがセクハラと違う点ですが、現在、労働局の労働相談件数のトップはハラスメントですから、具体的な指針・ガイドラインができる意義は大きく、十分に議論して決めていただきたいです。
(参考)
【職場のパワーハラスメントの定義】
「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」
【職場のパワーハラスメントの6類型】
1)身体的な攻撃 暴行・傷害
2)精神的な攻撃 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
3)人間関係からの切り離し 隔離・仲間外し・無視
4)過大な要求 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
5)過小な要求 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
6)個の侵害 私的なことに過度に立ち入ること
※厚労省HP「職場のパワーハラスメントについて」より
一方、未払賃金の請求権の時効については、来年4月の民法改正で5年に延長されるのに伴い、労働基準法の規定(2年)が民法を下回ってしまうために、法改正が検討されていますが、今回の報道の内容では、労使の意見の間をとってまずは3年でどうか、とのこと。こちらは、パワハラとは違い、未払賃金がいけないことははっきりしており、間をとる必要があるのか?という意見も理解できますが、一方で、労働時間管理を行わなければならない使用者側もサポートする仕組みがないと体力のない中小企業には厳しい面があるのも事実ではないかと思います。
いずれも、結論が出るまで注視し、情報があれば引き続き取り上げていきます。
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