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社会保険労務士曽根事務所

社労士・アウトソーサー・自社のメリット・デメリット


 今日は、中小企業が社労士を使うメリットについて考えてみたいと思います。

 社労士の扱う労務関連の業務は、労務相談・労働社会保険手続き・給与計算・就業規則作成など、多くはヒトを雇っている会社内で発生するものです。つまり、本来は社長自身もしくは自社の事務員でも調べて何とかこなせる業務です。実際、大企業であれば、社内に独立した人事部門や法務部門を持って専門に長けた優秀な自社の社員が解決しています。(定型業務のアウトソーシング先として社労士法人等を利用するケースはあるかもしれません。)しかし、中小企業はどうでしょう。事務員を大勢抱える余裕などなく、労務関連の業務を行うのは「何でも屋」の総務又は経理の担当者。専門性に長けているわけではなく、トラブルの都度手探りで落としどころを判断する後手の対応になってはいないでしょうか。

 以下に、中小企業が労務関連業務を自社社員・アウトソーサー(社労士法人含む)・開業社労士のいずれかに任せる場合を比較して見てみます。


・自社社員             専門性△   安定性△   スピード・柔軟性◎   コスト△

・アウトソーサー・社労士法人 専門性◎   安定性◎   スピード・柔軟性△   コスト△

・開業社労士         専門性○-◎ 安定性△-◎ スピード・柔軟性△-◎ コスト△-◎


 自社社員の最大のメリットは、スピードや柔軟性でしょう。何か聞きたいときに目の前にいる。最優先でやってほしければ残業や休日出勤を命令してでもやらせることはできる。法的に多少問題があっても業務命令で行わせることができる。何かを指示するときにイチイチ「これは契約の範囲なのか」と確認する必要もなく雑務を含めフレキシブルに対応させられる点は魅力でしょう。

 一方でデメリットとしては、業務の専門性が高くない点(より良い選択肢の見落としや未経験のことへの対応の遅れ)、安定性に欠ける点(担当者の退職)、担当者を一人置くことによって固定的なコストとなる点があります。労働者は法律で守られているため、会社の都合で簡単に辞めさせられませんし、給与を含む待遇を「不利益変更」することも簡単にはできません。後任採用の都度発生する募集・採用の費用(求人1回数十万円。応募が少なければ複数回。紹介会社を利用すれば年収の3~4割の紹介料。)、面接に割かれる時間、採用手続・引継・育成にかかる時間、法定福利費(社会保険料の会社負担分として賃金の約15%)、福利厚生費、賞与、有給休暇、慶弔休暇、担当業務以外(朝礼、会議、社内行事等)の時間に対する賃金などがかかります。


 次に、社労士法人などアウトソーサーのメリットは、専門性と安定性でしょう。多様な専門を持つ複数の社労士が多岐にわたる情報を提供したり、担当者の病気や退職があっても他の担当者が代わりに対応できるため安心できます。インターネットで探してみても、詳細な業務関連情報をホームページ上に掲載しているところが少なくありませんし、規模・業種様々な取引企業の実績を確認できます。

 一方でデメリットとしては、企業の社内処理レベルのスピードを求めても対応してもらえない点でしょう。(ミスがあれば社内と違いすぐに損害賠償等のリスクがあるため分析・検証に必要な時間・費用を求め、無理なら仕事を断ります。土日祝日、夜間、年末年始、5月の大型連休、夏季休業等も人員確保が困難なため対応しないのが一般的です。派遣社員・短時間勤務者・パートへの依存度が高いことも一因でしょう。)また、コストは、法人として適正な利益が確保できる値段になるでしょう。


 最後に、開業社労士(個人事業主)ですが、すべてにおいて「人」によるとしか言えません。専門性については、社労士の業務範囲が広いため自社のニーズにあった人を選ぶ必要がありますし、安定性も、退職がないとはいえ個人なので病気のリスクはあり健康な人を選ぶ必要があるでしょうし、スピードは早い人が多いでしょうが(遅いと生き残れないので)多忙過ぎて捕まえにくい人もいるでしょう。柔軟性も、法的に間違ったことはできませんが(国家資格のため資格停止処分等があります)、経験のある社労士を選べば多様な事例・選択肢を紹介してくれるでしょう。コスト面は「ピンキリ」ですが、専門職なので値段よりサービスの質で勝負するのが一般的でしょう。


 終わりに、中小企業が大企業と同じようにトラブルを未然に防ぐような対策を打っていくためには、外部の力を借りるのも一つの選択肢だと私は考えます。税務処理について税理士に相談するのと同様もしくはそれ以上に、労務についても会社がとりうるベストな選択を社労士に相談してみてはいかがでしょうか。

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